第2四半期決算時期になり続々と開示されてきています。日々の株価は全く当てにならない為、投資家として何を見るかは決算結果を見て状況把握する他ありません。
保有株の第2四半期決算の結果がどうだったか、何を考えたかをまとめておきます。後々見返すとその時の感情や考えがどうだったかわかり、今後の投資に役立つ可能性が高いです。
企業によっては第1四半期決算が多いですが気にせず見てみましょう。
目次
前提確認項目
基本的に見ているのは数字です。成長、または現状維持出来ているか確認するために大きく下記2つを確認事項としています。企業内の事業セグメントなども確認していますが一番経営状況について現れるのは以下の項目なので絶対に外せないですね。
・本業の売上や利益
・キャッシュ・フロー
企業毎の決算状況
今回はすでに開示されている5つの日本企業を見ていきます。各項目の説明は以下簡単に記載したので参照してもらえれば良いと思います。
売上収益:本業の売上を確認する。本業以外が大きくてもあまり伸びないため状況把握するにはもってこい。
営業利益:本業で稼いだ利益を表すためこれが伸びてたら本業は順調ということ。
当期純利益:これも伸びてたら順調
営業利益率:高ければ高いほど効率のいい経営ができている。
1株利益:これも高ければ1株あたりの利益が大きい為良い
営業CF:本業を行った結果、どれだけ手元にお金が残ったかの確認。
投資CF:フリーCFを求める上でも重要+設備やらどれだけかかっているか確認。
財務CF:キャッシュフローが問題ないか確認する上で必要。大きすぎたり変な数字になっていると要注意する。
フリーCF:配当金や新規事業投資、借入金返済のために必要。配当金が多くてもフリーCF多ければ多いほど安心できる。
日本たばこ産業 (2914)第2四半期決算
みんな大好きJTです。基本的には前年比で悪化しています。とはいえキャッシュフローは悪くなっているものの営業CFはプラスでフリーCFもプラスであり普通に経営されている事がわかります。営業利益率も20%は死守している為、効率的な経営がされていることには変わりありません。
項目 | 2019 2Q | 2020 2Q | 増減率 |
売上収益 | 1,058,549百万円 | 1,030,218百万円 | -2.7% |
営業利益 | 311,326百万円 | 251,989百万円 | -19.1% |
当期純利益 | 226,451百万円 | 172,495百万円 | -23.8% |
営業利益率 | 29.4% | 24.5% | -16.8% |
希薄化後1株利益 | 127.23円 | 97.19円 | -23.6% |
営業CF | 221,938百万円 | 126,634百万円 | -42.9% |
投資CF | -82,263百万円 | -27,883百万円 | -66.1% |
財務CF | -104,044百万円 | -24,978百万円 | -76.0% |
フリーCF | 139,675百万円 | 98,751百万円 | -29.3% |
全体的に縮小傾向ではありますが数年先までは問題なさそうな決算状況です。コロナ禍による痛手は免税店でのたばこ売上減少でしょうか。当初見込みから300億円の下方修正されており影響度合いの大きさを物語っています。
更に今期の配当性向も90%を超える予想を立てておりコロナ禍が今年度いっぱいまで続くとなれば配当性向が100%を超える可能性もあります。
株価はそれを示唆するように大幅下落を続けておりリスクの高さを感じますね。
アークランドHD(3085)第2四半期決算
かつやで有名なアークランドHDです。コロナ禍であっても出店による規模拡大を図っており、さらなる成長を目指しています。
項目 | 2019 2Q | 2020 2Q | 増減率 |
売上収益 | 15,901百万円 | 16,696百万円 | 5.0% |
営業利益 | 2,177百万円 | 1,987百万円 | -8.7% |
当期純利益 | 1,217百万円 | 1,190百万円 | -2.2% |
営業利益率 | 13.7% | 11.9% | -13.1% |
希薄化後1株利益 | 37.17円 | 36.34円 | -2.2% |
営業CF | 2,363百万円 | 1,994百万円 | -15.6% |
投資CF | -512百万円 | -3,732百万円 | 628.9% |
財務CF | -299百万円 | -348百万円 | 16.4% |
フリーCF | 1,851百万円 | -1,738百万円 | -193.9% |
利益自体は減っているものの着実に売上は増えています。既存店での顧客確保や新規出店によるものですね。投資CFがかさんでいるのは出店計画が進んでいる為と思われます。2014年にも同規模以上の投資CFがあり、その後大きく売上を伸ばした実績はあります。
3~6月は客数が3割程度下落しましたがその分客単価が上がっておりさほど大きな利益減少はありませんでした。
確実に顧客のニーズや質の高いサービスを変わらずに提供している為、安定感があります。株価も安定しており成長も安定しているため、買い増し候補の一つになります。
アサヒHD(5857)第1四半期決算
貴金属リサイクルが本業のアサヒHDです。飲料水の方じゃないです。貴金属の需要が一気に伸びたこともありかなり良い決算となっています。
項目 | 2019 1Q | 2020 1Q | 増減率 |
売上収益 | 30,257百万円 | 39,206百万円 | +29.6% |
営業利益 | 3,359百万円 | 5,258百万円 | +56.5% |
当期純利益 | 2,035百万円 | 3,632百万円 | +78.5% |
営業利益率 | 11.1% | 13.4% | +20.8% |
希薄化後1株利益 | 51.56円 | 91.69円 | +77.8% |
営業CF | 5,414百万円 | 3,821百万円 | -29.4% |
投資CF | -1,124百万円 | -928百万円 | -17.4% |
財務CF | -2,489百万円 | -3,512百万円 | +41.6% |
フリーCF | 4,290百万円 | 2,890百万円 | -32.6% |
これだけ良いと何も書くことがありません。好決算で更に配当も10円上方修正されたこともあり株価も一気に上昇しました。
営業利益率も製造業の中では優秀と言える10%を超えています。利益も前年比+50%を超えていますので文句のつけようがありません。
貴金属の価値も上がっているということは相対的にお金の価値が下がっていることも示唆できる為、大手を振って喜ぶことは出来ませんが企業としては非常に優秀な結果となっています。
NTTドコモ(9437)第1四半期決算
NTTドコモは現状通信費の割安化に伴って本業収益が低下しています。
項目 | 2019 1Q | 2020 1Q | 増減率 |
売上収益 | 1,159,285百万円 | 1,098,151百万円 | -5.3% |
営業利益 | 278,717百万円 | 280,536百万円 | +0.7% |
当期純利益 | 192,307百万円 | 195,281百万円 | +1.6% |
営業利益率 | 24% | 25.5% | +6.3% |
1株利益 | 57.76円 | 60.48円 | +4.7% |
営業CF | 174,478百万円 | 175,334百万円 | +0.5% |
投資CF | 365百万円 | -229,307百万円 | **% |
財務CF | -248,759百万円 | -230,281百万円 | -7.4% |
フリーCF | 174,843百万円 | -53,973百万円 | -130.9% |
その中でも営業利益率は増加しているため、安定した経営が出来ていると言えます。
売上は減っているものの利益は微増しておりコア戦略として掲げているスマートライフ事業が拡大したことによる影響が大きいです。通信事業の低下を上回ることで今後の通信費割引における影響が小さくなりつつあるのもポイントが高く良いですね。
配当も通期+5円アップと7期連続増配となりました。微増ではありますが、コロナ禍の影響中で増配してもらえるのは非常にありがたいことです。
KDDI(9433)第1四半期決算
引き続き通信セクターのKDDIです。NTTドコモと同じく売上は減少していますが利益は増加しています。
項目 | 2019 1Q | 2020 1Q | 増減率 |
売上収益 | 1,246,101百万円 | 1,242,679百万円 | -0.3% |
営業利益 | 255,800百万円 | 290,718百万円 | +13.7% |
当期純利益 | 162,553百万円 | 182,324百万円 | +12.2% |
営業利益率 | 20.5% | 23.4% | +14.0% |
希薄化後1株利益 | 69.23円 | 79.22円 | +14.4% |
営業CF | 134,557百万円 | 234,939百万円 | +74.6% |
投資CF | -159,995百万円 | -182,120百万円 | +13.8% |
財務CF | 97,797百万円 | -45,353百万円 | **% |
フリーCF | -25,439百万円 | 52,820百万円 | **% |
基本的にはコロナ禍の影響はあるものの利益やキャッシュフローに異常はありませんし、かなり良い決算だと思います。21年の配当は出ていませんが、最低でも維持してくれるものと思われます。
KDDIもNTTドコモと同様にサービス面の強化を図っておりこの戦略が功を奏しつつあるのがわかります。
まとめ
製造業や飲食サービスはかなりの痛手を負っていますが、通信や貴金属関連はまずまずの結果となっています。どさくさに紛れてコロナを理由に経営の悪化を言い訳しないか注力してみていますが今の所そのような企業を保有していません(というかそんな企業はそもそも上場していない気が)。
それでも経営状況を確認するために投資家ができることはニュースではなく、企業から発せられる1次情報である決算結果のみです。
少しずつでも良いので噛み砕いて説明できるように今後も確認していきたいと思います。
☆日々の継続こそが心身向上の糧☆