米国株で得られる配当金には通常の税金20.315%から更に10%が税金が引かれていますが戻ってくる可能性もあります。
税金は出来る事なら支払いたくはないものですが公共施設や社会保障を受ける為にも支払う必要があります。
ただし節税して支払う必要が無いものであれば出来る限り小さくしたいものです。
目次
結論
確定申告により米国内で源泉徴収された税金の最大10%を取り戻せる可能性があります。
ただし、取り戻せる額は所得税額が大きくなるほど大きくなるだけなので全て取り戻せる可能性は小さいです。
計算は面倒ですが確定申告用のソフトへ入力すれば自動的に限度額まで算出されます。
外国税額控除は所得税額によって決まる
外国税額控除の限度額はそれぞれその年分の金額から以下の式で決まります。
控除限度額=所得税額✕国外所得総額/所得総額
所得税額が多い=年収が多いですから年収が多ければ多いほど取り戻せる金額は多くなります。
自分が取り戻せる金額がいくらなのかザックリ知りたい場合はすぐに計算出来るので試してみるのもいいでしょう。
外国税額控除の簡易算出例
実際に以下の条件で算出してみます。
とりあえず独身設定でいきましょう。
年収:平成30年の平均年収441万円
米国株配当金:30万円(源泉徴収済み)
必要な数字は所得税額と所得総額になる為、以下の順番で計算していきます。
①所得総額の算出
年収から控除額を引いたものが所得金額となります。
給与所得控除額の計算
441万円✕20%+54万円=142.2万円
各年収における控除額は以下を参考にしました。
所得総額は年収(441万円)から所得控除額(142.2万円)を引いたものと米国株配当金額(30万円)を足したものです。
441万円ー142.2万円+30万円=328.8万円
これが所得総額になります。
②所得税額の計算
所得税額の計算は以下になります。
今回は保険料控除やら扶養控除やらは入れません。
課税所得額=年収ー(給与所得控除+社会保険料控除+基礎控除+保険料控除ほか)
給与所得控除は所得総額の計算時にも使いましたが以下です。
441万円✕20%+54万円=142.2万円
社会保険料控除は大抵の場合はおおよそ14.22%で計算する為、以下になります。
441万円✕14.22%=62.7万円
基礎控除は一律38万円です。
よって課税所得額は以下になります。
441万円ー(142.2万円+62.7万円+38万円)=198.1万円
これに税率を掛け合わせる事で所得税額が算出出来ます。
今回は累進課税に照らし合わせると195万円以上330万円以下ですので10%かかりますね。
198.1万円✕10%=19.8万円
③控除限度額の計算
ようやく控除限度額を計算出来ます。もう一度計算式を載せておくと以下になります。
控除限度額=所得税額✕国外所得総額/所得総額
19.8万円✕30万円/328.8万円=1.8万円
この1.8万円が外国税額控除が出来る限度額になります。
実際の税額は30万円✕10%=3万円なので軽くオーバーしていますね。
限度額オーバー場合はさらに計算が必要となります。
外国税額控除の限度額をオーバーした場合
国税庁のHPには限度額がオーバーしたときの計算方法も載っています。
以下は抜粋
2 控除対象外国所得税の額が所得税の控除限度額を超える場合
外国税額控除額は、所得税の控除限度額と、次のイ又はロのいずれか少ない方の金額の合計額となります。
イ 控除対象外国所得税の額から所得税の控除限度額を差し引いた残額
ロ 復興特別所得税の控除限度額
イの方は以下で計算します。
3万円ー1.8万円=1.2万円
ロの計算式は以下です。
復興特別所得税額=基準所得税額✕2.1%
これに当てはめると
19.8万円✕2.1%=4,158円
小さい方が適用されるので今回は
1.8万円+4,158円=22,158円が限度額となります。
それでも限度額をオーバーした場合は
今回3万円控除したいのに22,158万円が限度で残り7,842円はそのままかというとそうではありません。
道府県民税と地方税から控除されることになります。
それぞれ以下の計算式から算出出来ます。
所得税の控除限度額×12%=道府県民税
所得税の控除限度額×18%=地方税
それぞれ当てはめると
1.2万円✕12%=1,440円
1.2万円✕18%=2,160円
ということで外国税額控除と道府県民税と地方税の控除を合計すると25,758円まで適用が可能になりました。
残りの4,242円は3年繰越しが可能ですが長期で配当金をもらい続けるとなるとそうそう使いきれないのが心苦しいところですね。
まとめ
いかがだったでしょうか。
実際には確定申告ソフトで自動で計算出来ますが掛かる税金と控除の仕組みを知ればどの項目に何の控除が入るかがわかります。
例えば今回の外国税額控除は所得税に関係があるので保険や不動産ローンなど所得税に関係する控除と枠を潰し合う事がわかります。
なるべく控除枠を取り合わないように立ち回り最大限の節税を図る事こそが真の節税マスターと言えるでしょう。ならなくてもいいですが。
☆日々の継続こそが心身向上の糧☆