
終身雇用制度が出来た背景と今の日本社会の立ち位置を比べて必要なのか考えました。
結論
盛者必衰という言葉もあるようにずっと同じやり方ではいつか必ずダメになります。
終身雇用制度も同様に歴史的背景と地政学的要因を考えると無くなるのは必然で、
今後、企業は新しい制度を模索し、労働者はその制度にいかに早く適応できるかが勝負となります。
終身雇用制度が出来た歴史
何年に何が起こったと書いてもピンとこないと思う為、ターニングポイントとして
第二次大戦を中心に、戦前、戦中、戦後、高度経済成長期、バブル崩壊後、現在の6つに分けて歴史を見てみましょう。
戦前
ここでいう戦前は明治~昭和初期頃になりますが、いわゆる産業革命の成功により工業化社会が構築されてきます。
この頃は今みたいに全自動の機械はなく、労働者の技術、技能によって品質が守られていた時代です。
労働者は熟練になるとより高い賃金を求めてすぐに転職する強い立場になりました。
雇用側からすると熟練工にいなくなってほしくない為、勤続年数に応じた昇給や福利厚生などの制度を確立し長期雇用してもらう算段を考えたわけです。
戦中
戦争が過熱化していく中で労働者の中核ともいえる成人男性が徴兵され、かつ軍需産業は拡大していく為、人手不足になります。
徴兵によって働き手がいない為、より良い雇用条件を提示するなど引き抜きが横行します。
上記の問題によって国も対処せざるを得なくなり、「国家総動員法」を起点に「従業者移動防止令」や「労務調整令」、「賃金統制令」によってすべて国が管理する決まりが出来ました。
この制度によって国全体が労働者の生活を管理(保障)し、労働者は国や企業の為に働くといった丁稚奉公のような江戸時代の精神に再び戻ったともいえます。
戦後
敗戦による貧困により労働者は安定を必要としました。
年功に応じた定期昇給と不当な解雇の規制、退職金制度など現在と変わりない制度が再び取り入れられるようになりました。
これにより多くの労働者が安定した生活を保障され、後の高度経済成長期の基礎固めが出来るわけです。
高度経済成長期
この時代はどんどん物を作っては売りといった好景気時代真っただ中でどんだけ物を作っても売れるわけですから慢性的な労働者不足でした。
この頃の日本企業はどんな職種であっても長期的に働いてほしい為、年功序列を伴った長期雇用の慣習が広まったといえます。この長期雇用の慣習が終身雇用へとつながるわけです。
バブル崩壊後
生活必需品はほとんどすべての家庭に取り入れられ、物が必要なくなりました。
さらに行き過ぎた地価高騰からの地政学的要因から日経平均半値や地価暴落など急激な経済成長に耐えられなくなり破綻する企業が相次ぎました。
物が売れず土地も売れずの何も売れない中、企業は労働者がたくさんいても困る事になります。
労働者派遣法の改正によって企業の価値観が変わり、先行き不透明な時期の足枷となる終身雇用者よりも派遣に頼る事を望みました。
現在
何とか物を買ってもらうよう企業同士が激しい値下げ競争をしたことで実際は少しずつインフレしているにも関わらず、見た目上デフレに見えるデフレスパイラルに陥ります。また、派遣労働者数増大に伴う正規雇用者との格差が問題となります。
以下は現在進行形の歴史ですので私の主観が入ります。
更に直接生産に携わる労働者が減っており、たくさん残っているのはバブル崩壊前の中間管理職(40代~50代)が多いと思います。
中間管理職はあくまで直接生産してくれる労働者の管理が仕事ですから自身は何も生み出さないわけです。
企業からすると高給取りですが何も生み出さない中間管理職には何とかやめてほしいというのはわかる気がします。
まとめ
少子高齢化社会によって終身雇用は維持できなくなっている事は明確です。
先日トヨタの社長も終身雇用制度は難しいといった発言をしていることから今後は別の制度が生まれる事は必至です。
私的には終身雇用制度が崩壊するならするで良いんですが、報酬が今のまま変わらないならディストピアにしかならず誰も得をしないんですよね。
40~50代をリストラするだけじゃなくてプラスαで報酬を与えないと負のスパイラルに陥る事は必至です。
いきなりリストラされる40~50代が悪いわけではないんですが、どこかで大幅な改革をしないと世界から置いてきぼりにされてしまい、いつまでも空白の〇年とか後世で言われかねません。
うーん、なかなか厳しい時代になってきましたね。
思考停止せず、今後もあらゆる情報にアンテナを張って長期目線で思考し続ける事が重要になりそうです。
☆日々の継続こそが心身向上の糧☆