「2028年から金融所得にも社会保険料がかかる」

配当投資やセミリタイアを目指している人にとって、このニュースを見て不安になった人もいるかもしれません。

特に、給与収入を減らして配当金を生活費の一部に充てるセミリタイアでは、金融所得に社会保険料がかかるようになると、将来の資金計画にも影響する可能性があります。

ただし、現時点で過度に焦る必要はないと考えています。

今回検討・導入が進められている制度の対象や背景を確認すると、少なくとも現段階ではすべての投資家やセミリタイア層に直ちに影響する制度ではありません。

今回は、2028年以降に予定されている金融所得と社会保険料の見直しについて、配当投資家・セミリタイアを目指す立場から考えてみます。

2028年から何が変わるのか

今回の制度見直しでポイントになるのは、金融所得に新しい税金がかかるという話ではありません。

これまで、上場株式の配当金や譲渡益などの金融所得は、確定申告をするかどうかによって、社会保険料や医療費の窓口負担の判定に反映される場合とされない場合がありました。

例えば、源泉徴収だけで課税が完結している場合、自治体側がその金融所得を把握できず、後期高齢者医療制度の保険料などに反映されないケースがあります。

一方で、同じ金融所得でも確定申告をすると所得として把握され、保険料や窓口負担に影響することがあります。

つまり、同じ収入であっても確定申告をするかどうかで社会保険料などが変わるという不公平が存在していました。

そこで今後は、金融機関が提出する法定調書などを活用し、確定申告をしていない金融所得についても把握して、後期高齢者医療制度の保険料や窓口負担の判定に反映する方向で制度整備が進められています。

参考文献は以下

https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001676383.pdf

現時点では、主な対象は75歳以上

ここで重要なのは、現時点での対象です。

まず制度の対象として進められているのは、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度です。

そのため、現在働いている会社員や、これからセミリタイアを目指している人が、2028年になった瞬間に配当金へ社会保険料を追加で支払うという話ではありません。

もちろん、将来的には国民健康保険や介護保険などへ対象が広がる可能性についても議論されています。

しかし、現時点ではすべての年齢・すべての社会保険制度に金融所得を反映する制度が決定しているわけではありません。

この点は、ニュースの見出しだけを見ると誤解しやすい部分だと思います。

NISAの非課税所得は対象外

投資家としてもう一つ重要なのが、NISAです。

現時点で示されている制度では、NISA口座で得た非課税の配当金や譲渡益は、金融所得を社会保険料や窓口負担に反映する際の対象外とされています。

つまり、今後金融所得が社会保険制度に反映される範囲が広がった場合でも、NISAの存在はより重要になる可能性があります。

もちろん、制度は将来的に変更される可能性があります。

しかし、少なくとも現行の方針では、長期投資においてNISAを活用するメリットは、税金だけではなく社会保険料の観点からも意識しておく価値がありそうです。

セミリタイアを目指す人は今すぐ焦る必要はない

個人的には、現時点でこの制度を理由に投資方針を大きく変更する必要はないと考えています。

私自身もまだセミリタイアしておらず、今回の制度はまず75歳以上の後期高齢者医療制度が対象です。

そのため、「2028年から配当投資が終わる」「今すぐ資産運用を変更しなければならない」と焦る必要はないでしょう。

ただし、長期的には注意しておく必要があります。

今後、後期高齢者医療制度だけではなく、国民健康保険や介護保険などへ金融所得の反映が広がる可能性があります。

さらに、将来的に対象年齢が引き下げられる可能性もゼロとは言えません。

特に、セミリタイア後に給与収入が減り、配当金や株式の売却益が生活資金の中心になる場合、金融所得が社会保険料の算定対象になるかどうかは非常に重要です。

現時点では焦る必要はありませんが、将来の制度変更も想定して資産形成を考えておく必要はあると感じています。

マイクロ法人は有効な対策になるのか

金融所得と社会保険料の問題が話題になると、「マイクロ法人を作れば対策できるのでは?」と考える人もいると思います。

確かに、セミリタイア後の所得構造によっては、個人事業と法人を組み合わせることで社会保険料や税金をコントロールできる可能性があります。

しかし、私は現時点で安易にマイクロ法人を設立する必要はないと考えています。

法人を維持するためには、設立費用だけではなく、法人住民税の均等割や税務処理、会計ソフトなどのランニングコストもかかります。

また、そもそも法人化を活用するためには、継続的な事業所得があることも重要です。

配当収入だけを前提としてマイクロ法人を作っても、事業規模や所得によってはコストに見合わない可能性があります。

そのため、今の段階で「将来社会保険料が上がるかもしれないから法人を作る」と決めるよりも、実際にセミリタイア後も継続できる事業を作り、その所得水準を見ながら法人化を検討する方が現実的だと考えています。

私は事業所得を見ながら法人化を判断したい

私の場合は、ブログやその他の副業を継続し、将来的にどの程度の事業所得を作れるのかを見ながら考えたいと思っています(といっても現状は皆無に近いですけどね・・・)。

事業所得がほとんどない状態で法人だけを維持すれば、固定費だけが発生する可能性があります。

一方で、継続的な収益が生まれ、個人事業のままでは税金や社会保険料の負担が大きくなるのであれば、その段階で法人化を検討する意味が出てくるかもしれません。

つまり、私にとってマイクロ法人は「今すぐ作るもの」ではなく、将来の所得状況によって選択する選択肢の一つです。

制度変更だけを理由に法人を作るのではなく、

  • 事業所得がどの程度あるのか
  • その収入が継続する見込みがあるのか
  • 法人維持コストを上回るメリットがあるのか
  • セミリタイア後の給与・配当・事業所得をどのように組み合わせるのか

こうした点を総合的に判断する必要があると考えています。

今からできることは「制度変更を前提に資産形成する」こと

今回の制度変更を見て感じたのは、これからの資産形成では「いくら資産を作るか」だけではなく、「どのような所得として受け取るか」も重要になってくるということです。

給与所得、事業所得、配当所得、譲渡所得など、同じ金額を得ていても税金や社会保険料への影響は異なります。

そのため、将来セミリタイアを目指すのであれば、配当金だけに依存するのではなく、NISAの活用や事業所得なども含めて、複数の選択肢を持っておくことが重要になるかもしれません。

私自身も、今後の制度変更を注視しながら、

「会社員としての給与」

「配当金」

「NISAによる非課税運用」

「ブログなどの事業所得」

これらをどのように組み合わせるのが、自分にとって最も効率的なのかを考えていきたいと思います。

まとめ|今は焦らず、将来の選択肢を増やしておきたい

2028年以降、金融所得と社会保険料の関係は少しずつ変わっていく可能性があります。

ただし、現時点ではまず75歳以上が加入する後期高齢者医療制度から金融所得を反映する方向で進められているため、まだセミリタイアしていない人が今すぐ大きな対策をする必要はないでしょう。

一方で、今後は国民健康保険や介護保険などへの拡大、さらには対象年齢の見直しが行われる可能性もあります。

だからこそ、「まだ自分には関係ない」と完全に無視するのではなく、制度変更を長期的なリスクとして頭の片隅に置いておきたいと思います。

また、マイクロ法人についても、社会保険料対策だけを目的に今すぐ設立するのではなく、実際の事業所得や継続性、法人維持コストを確認したうえで判断する方が良さそうです。

今の私としては、まず資産形成を続けながら、ブログなどの事業を継続し、将来的な収入構造を見ながら最適な選択肢を考えていきたいと思います。

制度が変わってから慌てるのではなく、今から「選択肢を持てる状態」を作っておく。

それが、これからセミリタイアを目指すうえで重要なのではないでしょうか。